口臭を言語化するということ

ひとくちに口臭と言っても、色々な原因で発生してきます。普段、口臭治療において、患者さんに問診をするのですが、その中で、「自分から、どのような臭気が出ているか?自覚がありますか?」と言う問い合わせに対して、実に、半分以上の方が、「どの様な臭いが出ているのか?全く見当がつかない」と言う回答を得ています。

 

でも、よく考えてみると、これは少し矛盾しています。

 

自分からどのような口臭が出ているのか解らないのに、口臭がある…と主張しているのです。

例えば、アナタが少しメタボであれば、体重計に乗って、自分の胴回りをメジャーで測れば、どの位メタボか、おおよその察しがつきます。また、自分がどの位お金に困っているのか?貯金通帳の残高を見て、財布の中身を見れば、どの位貧乏なのか、すぐに解ります。

 

しかしながら、口臭と言うお悩みは、自分からどんなニオイが出ているのか、解っていないのに、

「自分には口臭がある…」と、主張しているのです。

 

その為に、どのような臭気が出ているのか?「言語化」する事が重要になります。

私が、3500人の患者さんから嗅ぎ分けてきた口臭の種類に関して、ここでは解説してみましょう。

 

 

●硫黄臭(温泉臭)…主に歯の周囲に存在する口臭発生菌と舌苔から出てくる臭気です。

●青臭い、血生臭い金魚鉢臭…歯周病、鼻炎など炎症性病変から出てくる臭気です。

●便臭、野菜の生ごみ臭などの発酵臭…腸内細菌のバランスが崩れ、便秘、下痢、オナラが臭い時に出てくる臭気です。

●てんぷら油臭…無理なダイエットで、脂肪を分解して、身体が何とか栄養補給をしようとした時に、脂肪酸が血液中に溶け出た時に出てくる臭気です。

●魚臭症…腎臓疾患なので、血液中にアミン物質が溶け出た時に出てくる臭気です。

●肉の焼け焦げ臭…漢方の熱証体質になった時に出てくる臭気です。年中、身体が熱いタイプです。

●洗濯物の部屋干し臭…漢方の水滞体質の時に出てくる臭気です。慢性疲労、関節痛などを伴います。

●乾燥したくん製、乾物臭…漢方の陰虚体質の時に出てくる臭気です。ドライアイ、火照りを伴います。

●たくあん臭…がんを患った方が、乳腺炎、皮膚炎などに罹患した時に出てくる臭気です。

 

口臭治療の始まりは、口臭を言語化し、その臭気の原因を同定し、オーダーメイドで治療方針を立案する力量が問われるわけです。