最近の私のお気に入りの食養生として、ナス科のクコの実を長寿の生薬としてご紹介しておきましょう。
クコの実は、杏仁豆腐の上に、チョコンと2~3個乗っている赤い実なので、一度は口にしたことがあるでしょう。口当たりに甘みがあるので、食べやすいですね。
古来より、老化防止、美肌、不老長寿の生薬として重用され、楊貴妃も好んで食べたと伝えられています。
クコの実は「精氣、からだの不足を補い、顔の血色を良くし、明目を促し、心を安神させて、長寿をもたらす」といわれています。漢方薬の中では、疲れ目やかすみ目に効能がある「杞菊地黄丸」(こぎくじおうがん)に多く含まれています。加えて、潤いを与えるので、ドライアイ、足腰の疲れ、慢性疲労、肌の乾燥にも効果が見込めます。こうした良い事づくめなので、50歳以上の年齢に差し掛かったら、万人が摂取しても良い生薬だと考えています。
楊貴妃ばかりでななく、日本においても、徳川家康の親交のあった、天海僧正もクコの実と納豆汁を好んで食べていたと伝承されています。最近では、自然食品屋ばかりでなく、一般的なスーパーでも食品として販売されています。このクコの実は、西洋では「ゴジベリー」と呼称され、美容を目的としたサプリメントやドリンク剤にも含有しています。
近年、化粧品の資生堂は、クコの実には、紫外線によるメラニンの沈着を抑え、日焼けによる、肌が赤くなる変化や、黒斑の生成を抑え、本来の肌に回復する作用が認められ、美肌・美白効果のある化粧品やサプリメントに応用しています。
加えて、クコの実のスゴイ所は、滋潤、滋養作用もある所です。血液や細胞外液・内液を増やし、身体全体に潤いを与えます。身体の水分代謝を司っている臓腑は、「腎」です。この働きが衰えてくると、「腎虚」と言う体質に傾きます。拙書「病気の9割を寄せつけない たった一つの習慣」にも記載しておきましたが、加齢やセックスの過多などで、腎が損耗すると、渇きや老化現象が出てきます。その変調は、真っ先に舌に現れ、舌の大きさが小さくなって、ひび割れや裂紋が出てきて、症状が進行すると、舌にヒリヒリ・ピリピリ痛みが出てきて、熱がこもってきて、舌が赤く灼熱感を伴うようになってきます。
普段から、口が渇いたり、肌の潤いが無くなってきたり、足腰が弱ってきたら、積極的に、枸杞の実を重用すると良いでしょう。私の一押しの食養生です。