ヒトは、オギャーと生まれてから成長が始まり、同時に死へと向かい始めます。まず、お母さんのお腹の中にいる時から、組織と臓器の形成が始まり、赤ちゃんの段階で、身体の臓器の中では、実は、目の覚醒が一番早く、生後数日から成長が始まります。そして、一番最後が、生殖器の成熟です。東洋医学では、全ての成長が整い生殖可能年齢になって、はじめて「成人」になったと解釈しています。
私の娘も、今年成人式です。ついこの間まで、成人は20歳でしたが、少子化に伴い、有権者の減少を危惧する政府は、選挙における成人を18歳に引き下げました。しかしながら、東洋医学では女性の成人は、28歳と考えています。
「女性は7の倍数、男性は8の倍数」というのが有名です。
これは、黄帝内経(こうていだいけい)という2000年前の古典から由来します。黄帝内経の第1巻「上古天真論」には、ヒトのたどるべき成長の事が書かれています
●女子は7歳で、歯が生え替わり髮がのびる。
●14歳で生理が来て、出産可能年齢になって、子供を産めるようになる。
●21歳で親知らずが生え、肉体の成長はピークに達します。
●28歳で筋骨は堅くなり、髮長く極まって、身体は盛んで充実してくる。
古来より、ヒトの成長の指標を、私の専門分野である、「歯の成長」で捉えているのは、興味深い点ですね。
そして、東洋医学では、人間の寿命は120歳が限界と説いています。これは、ヒトの一生を10歳区切りとして考えて行く概念で、それぞれ、三陰三陽論の6段階で解釈していきます。
少陽→陽明→太陽
太陰→少陰→厥陰 で、それぞれ10歳ずつ、年を取っていきます。
この流れの変遷は、実は、人体に分布するツボの流れに、ピッタリ当てはまってくる所が興味深いです。気の流れを形成する12経絡の流注と、生命力・寿命には、チャンと因果関係があるのですね。
上記の三陰三陽は、一周回って、60歳になります。ちょうど私も来年で「還暦」を迎えます。
そしてここからが、とても面白いのですが、還暦を超えると、今度は、10年毎に親からもらった先天の精(生命エネルギー)を、消費して年を取っていくと解釈していきます。使い切った先が、二回り目の120歳と言う訳です。
つまり、還暦を迎えたら、その後は、貯金で生きていると言う訳ですね。親から授かった有り難い生命素ですから、大事に有効に使っていこうと、年初に思います。