先月にご案内した、メディアからのコンタクトの最後の一件が、ようやく準備が整い、この度、オープンになりました。
既にプレスリリースの原稿が、「ウェルラボ」のサイトで記事がアップされています。
今まで、一般的な口臭の主な発生は、磨き残し、食物由来、歯周病、ドライマウス、鼻炎、膿栓、腸内臭などが原因でした。
その中で、「舌の上の苔」に関しては、あまり多くは語られていませんでした。今回、新しい視点に立って、実は「舌苔の付着」も口臭の原因の一つである…と言う内容を、ウーマンウェルネス研究会様を通じてメディア向けに情報発信して頂きました。
この新提案が、口臭で悩む方に向けて、新しい動機付けになると、医療アドバイザーとして参加した私も嬉しい限りです。
●ウーマンウェルネス研究会様からの最初の取材の際に聞かれた事は、
「一般的に口臭原因の中で、舌苔由来は何割位に相当しますか?」でした。
14年間で、4000人の患者さんを拝見してきた経験から、ザックリと、3~4割とお伝えしました。
口臭からの離脱を難しくしている背景には、実は、舌苔型口臭の発生には、
○ 口腔内が原因の局所で起きている…「木」の部分と
○ 身体全体で起きている体質的な…「森」の部分の両方が複雑に絡み合っている事に起因しています。
そして、厄介なのが、舌苔が増える原因は、この「木」の部分と「森」の部分の両方から発生してくる事です。
「木」の部分は、口腔内や舌の上に定着する口臭発生菌の増殖によって
「森」の部分は、漢方の体質の中で、主に「痰」とか「湿」、「水毒」により、身体の中から湧き出てくるのです。
今回、臨床家として現場を見てきた知見から、「舌苔由来」の口臭が、実際の臨床で、どの様に関係して来るか?について、特に「木」の部分を補足する形で、もう少し考察を加えてみましょう。
① ステージ1:口臭発生菌・舌苔菌が住み着き、菌が増殖する時の代謝産物として臭気を作り出す
口臭の最も初期段階です。「スマホ型口臭」もこの範疇にくくられます。まず硫化水素をはじめとしたインドール・スカトールなどの臭気が単独で上昇してきます。日々の歯ブラシを励行し、舌苔菌を殺菌する商材を用いる事で、比較的早期に引き下げる事が可能です。
② ステージ2:菌が作る毒素が歯周組織に影響を与え、歯肉に炎症が起きて、歯周病に移行する
ステージ1の段階を放置すると、やがて、お口の中には炎症が起きてきます。最初の始まりは、歯ブラシをした時に血が混じるなどで自覚すると思います。この段階を「浮腫」と考えます。さらに進行すると、歯肉の中に炎症が深く波及し、骨を溶かし始めます。時として、歯肉も膿みを抱えて、パンパンに腫れて膿瘍を引き起こします。
この時、臭気は、菌が作る硫化水素に加えて、炎症性のメチルメルカプタンも上昇してきます。
やがて、歯周病による炎症が長期にわたってくると、硫化水素の臭気を逆転して追い越し、メチルメルカプタンの臭気の方が強くなっていきます。
ここまで進行すると、歯科医院で歯周病の治療が必要になります。
③ ステージ3:並行して、下痢・便秘、飲食の不摂生などの生活習慣が加わると、腸内臭も上昇する
外食が多い、腹に重い食材(唐揚げ、ピザ、ラーメンなど)、オナラの回数が多い、便が臭い等を伴う時は、腸内腐敗臭が巡り巡って、呼気に現れてきます。主に、ジメチルサルファイドが高値を示します。この3大ガスが、全て認知閾値を超えてしまうと、臨床的な評価としては、重症の方に分類されます。
ここで重要なのは、菌が作る硫化水素と炎症性のメチルメルカプタンは、ワンセットだと言う事です。最初に硫化水素が出始めて、次いで、遅れる事、メチルメルカプタンが追従してきます。そして、歯周病などの炎症性病変が改善するまで、この2種類の臭気は、ペアで臭気を作り続ける事になります。
この事から、出来るだけステージ1の状態の時に、セルフメディケーションの範囲で、菌コントロールを施し、ステージ2に移行させない事が重要になります。
こうした背景を受けて、近年、舌苔の菌に特化した、「泡歯みがき」の様な商品も市場に出てきました。我々臨床家からすると…「待ってました」と言う商材です。
実験的に応用してみると、確かに、ステージ1の口臭には有用性が有り、舌の上に泡歯みがきを乗せてクチュクチュすると、下図に示すように、早期に、口臭レベルの減少を確認しました。続いて、3日後に改めて測定すると、ややリバウンド傾向を示すのですが、その「戻り幅」も少なくなっていました。さらに3日後も同様で、徐々に安定化している事が伺えます。
舌の上の口臭発生菌が、使用直後に非常によく殺菌されている事が解ります。
まずは、口臭が気になる方むけに、「舌の上の苔」も、口臭の原因になっている…と言う新しい概念を、広く訴求していきたいと考えています。