私のライフワークには、世の中の不思議なことを探求する「トンデモ科学」があります。
実は、このトンデモ科学にも、私なりに考えた2分類があります。それは…
「怪しい」ものと「真正」なものです。
怪しいトンデモ科学は、UFO、超能力、心霊、スピリチュアル、並行世界、多次元宇宙、秘密結社陰謀論、終末予言、都市伝説などです。こうした分野は、社会生活をしていく上で、それとなく会話の中で相手に探りを入れて、ご同輩と解れば、論じあう事も出来ますが、初対面の人に話すと、「ちょっと変わった人」と言う評価を受けますので、「隠れキリシタン」の様に、人目を忍んで日常生活を送る事になります。
一方、
真正トンデモ化学は、科学者や研究者が、「こんな研究、何の役に立つんだろうね?」と言う自然現象や世の中の不思議な現象を…「真剣に」そして「大真面目に」解析・研究を加え、その仕組みを解明し、論文などで発表する方々です。この一部は、実用化を目指す前の、基礎研究とも解釈できます。こちらの分野は、大いに知的好奇心を刺激しますので、「へー、そうなんだ…」と好評で、人前で話しても大丈夫です。
そしてイグノーベル賞は、毎年、主催者であるマーク・エイブラハムズ氏(右図)が、経済学、物理学、医学、化学、平和など、約10部門に対して、アメリカのハーバード大学で、授賞式が行われる事から、徐々に注目を集め始めています。近年では、マスコミ・メディアへの露出も含めて、注目の度合いが増した事から、単なるノーベル賞の「パロディ」と言う意味合い以上のものになってきています。数年前には、『キスによるアレルギー反応の抑制効果』を調べた日本人の医師の木俣肇さんが、「医学賞」に選ばれました。
画像は、東京ドームイベントサイトより引用:https://www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/ignobel2018.html
イグノーベル賞の目指す所は、
(1)「世間を笑わせ、考えさせた」研究
(2)「誰もマネできない、マネすべきでない」業績
が、一応の選考基準です。研究自体の正当性や世界の科学技術への貢献については、必ずしも重要視されていません。
とにかく、独創的で、刺激的な研究を行い、「人々を笑わせ、楽しませること」、そして、「人々に科学的な思考」に目を向けさせる事が重要視されています。でも、実は、イグノーベル賞から、市販化された物もあります。
例えば、犬の鳴き声から、犬の感情を翻訳する事で話題となった、「バウリンガル」や、女性のブラジャーのカップの接合部を外し、2個の緊急ガスマスクに応用できる「Emergency Bra(エマージェンシー・ブラ)」です。
去年の受賞は、「猫は流体である」でした。
そして、なんと・ナント、世界初の『イグノーベル賞の世界展』が、この日本で9月に執り行われます。2018年9月22日(土)~11月4日(日)、場所は Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)です。
https://www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/ignobel2018.html
トンデモ科学好きの私としては、「待ってた…ホイ」と言う催しで、絶対に見に行くぞ!と、今から楽しみにしています。
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例えば、過去の報告には、こんなものがあるようです。
「キツツキは、カンカン音が出て木に穴が開く程、頭を木に打ち付けても、なぜ脳がクラクラしないのか?」
こうした問題に対して、科学者がその仕組みの解明し、解剖学、生理学などの側面から解析を加えていきます。
非常に遊び心のあるイベントなので、発表者が、キツツキの被り物をして登壇する…ナンていう茶目っ気もある点が、聞く者の脳みそを柔らかくしてくれます。
実は、被り物には、れっきとした理由があります。ステージ上には、小学校低学年の女の子が控えていて、その女の子が、「この発表、何だかつまんなーい」と評価すると、発表が打ち切られたりもします。発表者が、もう少しプレゼンを続けたければ、女の子に対して、面白いウケ狙いのネタを披露したり、お菓子を上げたりして、ご機嫌を取らなければなりません。
さて、先程のキツツキの例ですが、もし、脳しんとうをしない理由が解明されたら、我々の社会の中で、どんな役に立つのでしょう?例えば、今までとは全く違う視点で設計された、脳を保護する為のバイクのヘルメットなどにも応用されるかもしれません。
そして、意外な事に、歴代の受賞者の中で、実は、日本人の割合が多いのです。これは、少し嬉しいですね。堅苦しい研究者のイメージが強い、石頭系の日本人なので、最も縁遠いのかと思っていたのですが、そうではないのです。
本当は、皆さん、トンデモ科学好きなのですね。
これからも、ドンドン面白い研究結果を出してもらいたいです。
過去の日本人受賞者 http://uguisu.skr.jp/recollection/ignobel.html
恐らく、日本は、秋葉原によるサブカルチャーなど、少しオタク、少し可愛い、コスプレ文化を楽しむ風潮が、研究する意欲にもつながっているのかもしれません。
とにかく、9月にイベントに参加してきたら、今年のオモシロ・トンデモ科学について、改めてレポートしたいと考えています。