日本口臭学会 第9回大会 in長野に参加してきました。

毎年、新しい口臭関連の情報収集と、会員同志の親睦を兼ねて、「日本口臭学会」に参加しています。今年は、長野の塩尻に位置する、松本歯科大学で執り行われました。

 

毎年、演題発表をしているのですが、今年は趣向を変えて、「におい刑事」こと松林宏治さんのお力をお借りして…

 

「口臭のセカンドオピニオン」について、私と刑事で2題を発表してきました。

 

松林さんは、過去ブログにも登場して頂き、ビジネスミーティングをする間柄で、同じ「におい」と言うキーワードでつながる同志として、色々意見を出し合い、その中から、「口臭のセカンドオピニオン」は、この世に生まれました。

 

「におい刑事」こと松林宏治さん       刑事と楽しくビジネスミーティング

 

学会には、毎年参加していますが…この口臭のセカンドオピニオンは、ほぼ間違いなく、

恐らく、『日本初』の取り組みだと思います。

 

松林さん登壇               私もプレゼン

 

口臭専門クリニックを営んで、今年で14年目、約4000人の患者さんを診てきました。

 

口臭治療で、何が一番難しいか?

 

と問われれば、私は以下のように考えています。それは…、

「患者さんに、本当に治ったんだ…と実感して頂く事」これに尽きると思います。

口臭治療も歯科医学であり、科学的なデータを指標として、治療が進まれていきます。それは、客観的な測定器で、治療前後の臭気を記録し、そのビフォーアフターで測定値の値が、「認知閾値」の基準値を下回れば、口臭は消えて、治癒したと解釈していきます。

 

例えば、メタボリックシンドロームの方がいて、体重計に乗り「BMI」の指数を調べ、メジャーで自分の胴回りを図れば、自分がどれだけメタボか?すぐに解ります。また、もっと厳密に検査行い、健康診断の数値の増減を見れば、さらに詳細な原因が解り、将来への予見も出来るようになります。

 

その後、患者さんは、食事指導や運動により、ダイエットに励み、健康数値を引き下げようと努力します。やがて、その試みは奏功しダイエットに成功した後、再び体重計に乗り、以前よりも体重が減少して、その数値の結果を……自分の目で確認すれば、殆どの患者さんは、

 

「ヤッター、メタボを脱したぞ!」と、喜ぶでしょう。

 

しかしながら、口臭で悩む患者さんの中には、客観的な測定器によるビフォーアフターのデータを提示しても、

 

「いや、オレは、絶対にまだ臭っている…口臭は治っていない!」と、

 

おっしゃる方が少なからずおります。その様な場合は、私の方から

 

「それでは、どんな時に日常生活の中で、口臭を自覚しますか?」

「なぜ、まだ臭いの不安が残っているのですか?」

 

という問診を進めて行くと、以下の様なお答えが返ってきます。

 

「朝起きた時に、口の中が渇いてネバつき…その時に、まだ強い臭いが出ているんだよ!」

「仕事中の緊張している時に、口臭がきつくなる。そこを解決しないと実感が湧かない…」

「この口臭測定器では、検出できない臭いが、あるんじゃないの?」

 

さらに、問診をすすめていきます。

 

「それでは、家族・職場などで、口臭を直接、指摘して来る第三者はいますか?」と伺うと、

 

殆どの方は、

 

「みんな気を使って、指摘はしてこない。でも、相手の態度を見れば解るんだよ!」と、

 

お答えになります。

こうした場合の問題の解決法は、たった一つしかありません。タイムマシンに乗って、患者さんが強く不安を訴える、その場の時間にさかのぼり、その時のそのニオイを調べてみるしか方法はありません。しかしながら、現実的には不可能な事です。

 

それでは、どうしたら良いのでしょうか?

 

過去にさかのぼって測定は出来ないですが、幸いなことに、口臭と言うお悩みは、日常生活を送る中で、前述したような同じ状況が何回も訪れます。そうであれば、

 

「その時の、その臭いを、何とか採取し…測定すれば良いのではないか?」とひらめきました。

 

しかし、臭いを採取する…と言う事は、容易ではありません。

 

1.まず、数日間、減衰する事の無い密封性・封鎖性の高い専用の臭気袋が必要になります。

2.しかも、その臭気袋の中は、「無臭の素材」でなければなりません。

 

こうした要求をかなえるために、共生エアテクノ社の代表取締役の松林宏治さんに相談をかけた所、さすがは、臭いのスペシャリスト、すんなり問題は解決しました。

共生エアテクノ社URL: https://www.201110.gr.jp/

 

●「口臭のセカンドオピニオン」の概要は、以下の通りです。

1.患者さんに専用の臭気袋を、3つお渡しして行きます。

2.患者さんから見て、「この人には、絶対にニオイは出ていない」と言う方を見つけて頂き、自分以外の方の臭いも採取します。

  これを、盲検法と言います。

3.次いで、患者さん自身が、最も気になる口臭が発生している時の、自分の臭いも臭気袋の中に取り込みます。

4.それを、シャフルして、発注の際には、受け取った臭気判定士の方が、どれが、被験者の袋かを解らないようにして、

  松林さんのラボに外注します。(シャフルしても、A・B・Cの検体のどれが自分のかは、覚えておきます)

5.送られてきた臭気袋を、共生エアテクノさんの臭気判定士の方によるヒト嗅覚による官能検査と、専門の臭気計で測定します。

6.その結果を、「結果報告書」にして、患者さんへフィードバックして、本当に口臭が発生しているのかどうか?検証を加えます。

 

こうした、中立的な第三者機関で、もう一度臭いを測定しなおして、ようやく患者さんは、

 

「あぁ、やっぱり、臭いは出ていないんだ…」と納得し、治療効果を実感する事が出来ます。

 

そんな訳で、去年1年間、二人でアイディアを出し合いながら取り組んできたビジネスモデルが、ようやく形になり、皆様に発表できるようになりました。

 

改めて、臭気判定士のニオイ刑事こと、松林宏治様には、色々無理なお願いをしてしまい、申し訳なかった気持ちでおります。この場を借りて、重ねて御礼申し上げます。