伊豆半島は、キンメダイが特産です。煮つけにすると、本当に美味しく頂けます。
鮮度の良い物は、お刺身やお寿司でも頂けます。近年は価格が高騰し、高級魚の仲間入りをしてしまいました。今回、家族旅行でお世話になった、伊豆の旅館で、金目鯛の料理が多く提供されました。どれも本当に美味しく頂きました。
その中で、金目鯛の姿焼きが振る舞われ、あんまり美味しかったので、
「頭の裏の顎の部分や、ヒレの周りの実の部分も、キレイに食べてしまいました。」と、給仕を担当して頂いたスタッフさんに伝えた所、スタッフさんもニコニコしながら、金目鯛の色々なウンチクを語りだしてくれました。
1.金目鯛は、実は鯛の仲間ではありません。深海魚です。微量の水銀が含まれているので、妊娠を希望する方は、あまり多く食べない方が無難です。
2.金目鯛の特徴でもある、大きく見開いた目玉は、深海の暗黒の世界でもエサを認識する為に発達した器官です。何故光って見えるかと言うと、「タペータム」と呼ばれる反射膜が目の中に備わっています。このキラキラした膜により、一度網膜に入った光は、再利用することが可能となり、網膜にしっかりとした残像を残す事が出来ます。そして、自分の目でエサを正しく認識して、捕食する事が出来るのです。加えて、優れた遠近調整機能がある事から、確実に獲物を捕らえる事が出来るのです。
3.深海では太陽光線の赤い色は吸収され、実際には、赤くは見えずに、保護色となる黒い色に見えるそうです。
4.そして、今回のスタッフさんの話の中で、一番私の感性にビビッと来たのが、「鯛の鯛」または「鯛中鯛」の語りでした。キレイに食べたお礼として、お頭の裏に隠れている鯛の鯛を引き抜く事が出来たのです。
「これは、綺麗に食べて頂いた方にしか、お話ししないんですよ」
と、言われたので少し嬉しかったです。
鯛の鯛とは、頭の骨格がしっかりした、「硬骨魚」の肩帯の骨の一部です。肩甲骨と烏口骨が繋がった状態のものが、魚の形に見える事から、「鯛の鯛」と呼ばれるようになりました。烏口骨は、本来は鳥類に備わっていますが、人間の肩甲骨にも、「烏口突起」として、癒着した形で、その名残を見る事が出来ます。
この部位は主に胸ヒレを動かす時に使われる骨で、えら付近に隠れています。鯛の鯛の周りには、胸ヒレを動かすための筋肉が、程よく付いているので、丁寧に箸でほぐせば、食べる所が一杯あります。その為に、綺麗に食べた人だけが…鯛の鯛を拝めるのです。
この鯛の鯛は、しっかりした骨質で非常に硬いです。その為に乾燥させてから、彩色を施せば、アクセサリーとして販売している業者さんもあります。
http://www.sachinoya.jp/ec/tainotai/
から引用させて頂きました。
そういう観点で考えてみると、人の身体にも、「仏様」が宿っていますね。「喉ぼとけ」と言う部分です。
実は、「喉ぼとけ」は、外から解るものと、中に隠れたものの2種類が存在するってご存知でしたか?
● 一つは、顎を上げた時に、男性の方がハッキリ確認できる、首の出っ張りです。これは、喉頭隆起(こうとうりゅうき)と言って、喉の中間に存在する甲状軟骨の隆起した所です。欧米では、「アダムの林檎」等とも呼ばれています。
● もう一つは、形状が座禅をしている仏様の姿に見える事からこの名が付きました。この喉仏は、自分では確認する事が出来ません。あの世に行った後、火葬された時に、家族が確認する喉仏です。前述した喉頭隆起は、火葬の際の強い火力で粉砕されてしまいますが、もう一つの喉仏は何とか残る事が多いです。よく、火葬を担当した職員の方が、こちらのお遺体には「喉仏の骨が残っている」と話を受ける時があります。実は、隠れた喉仏は、口頭隆起とは全く別の、椎骨である第二頸椎(軸椎)なのです。ここに備わっている「歯突起」と言う出っ張りが、仏様のように見える訳です。そして、この上に、第一頚椎が乗っかり、首を左右に回転する時の回転軸になります。骨壺に収める時には、身体の部位に従って、下半身の骨から骨壺に入れて、この第二頚椎を一番上にして、その上に頭蓋骨でフタをする事が多いです。
そして、今回の旅行では、フクロウさんにも会う事が出来ました。フクロウは、何故あんなに頭を360°回転する事が出来るのでしょうか?
実は、人間も前述したキリンさんも、長い首を持っていますが、首を形成する「頚椎」の数は、7個です。ところが、鳥類の場合は、ハクチョウで25個、フクロウで12~14個の頚椎が並んで、首の形を形成しています。骨の数が多ければ、稼動範囲も増えてきます。フクロウさんは、見た目はずんぐりむっくりしていますが、細かい頚椎の配列により、頭をグルグル回転できるのです。
身体の組織や骨には、色々な秘密が隠れていて、面白いですね。