私が20歳代の頃、花の82年組と言う、アイドル歌手には当たり年の時代がありました。30年以上も経過しても、皆さん、色あせることなく、いまだに現役で芸能活動をしています。
その中で、Hさんが、舌癌を公表し、口腔内で発生する癌が、注目を集めています。
2月某日、週刊ポストの編集者さんから電話取材を受けて、明日が締め切りなので、何とか助けて欲しいと言うお願いを受けました。恐らく、Hさんの件を受けて、本来予定していた記事を飛ばして、急きょ、誌面構成を変更した事が、声の雰囲気で解りました。
その中で、一通り、舌癌についての早期発見の方法、原因、予後、注意点、口内炎との鑑別点などの取材を受けました。
取材の中で、舌癌になりやすい体質は、何か有るのですか?と言う問い合わせを受けて、東洋医学的な体質からみた、舌癌のリスクを上げてしまう舌の状態を論じてみました。
① ギザギザ舌は、舌癌のリスクを上げてしまう
拙書「病気の9割を寄せつけない たった一つの習慣」の中で、口臭が出やすい典型的な舌の5分類を論じましたが、その中で、「ギザギザ舌」を抱える体質の方がおります。
このタイプは、身体がお疲れモードに傾き、元気な無くなっている傾向に有り、身体の水分の代謝も滞るので、水毒が蓄積してきて、舌の厚みと横幅の両方が大きくなってきます。
すると、自分の歯を押しのける位、舌が浮腫んでくるので、舌の横に「ギザギザ」した形が印記されて出てきます。これが、ギザギザ舌です。
舌の横腹に出やすい舌癌は、不適合な歯科修復物、義歯のささくれなどにより、舌の粘膜に対して慢性的に擦れの刺激を受ける事で、潰瘍が形成しやすく、やがて癌化して行きます。ギザギザ舌の体質の方は、ノーマル体質の方に比べ、普段から舌と歯がこすれ合う機会が多いので、舌癌のリスクを上げてしまうのです。
自分がギザギザ舌かどうかは、鏡の前で、アカンベーをすれば、目視で解りますが、それに加えて、以下に上げる随伴症状が伴うごとに、癌化する可能性を上げていきます。
● 家に帰ると、すぐに横なりたがる
● 疲れが取れない、慢性疲労が続く
● 胃腸が弱く、下痢をしやすい
● 手足がむくみやすい
● 関節が重だるい
以上の様な点に思い当たる部分が多い場合は、ギザギザ舌体質に傾きやすいです。
② 紫舌も癌のリスクを引き上げます
実は、紫舌も癌になりやすい舌です。舌癌になってしまったアイドル歌手のHさんは、過去の既往歴を見ると、大腿骨骨頭壊死を患い、人工関節を入れる手術をしているようです。この病気の誘因となる身体の症状は、末梢循環不全である事が指摘されています。
下図に上げるような、紫舌は、現代風に言えば、ドロドロ血体質です。長時間プールで泳いだ後、唇を見ると、誰でも紫色に変色している場合があります。あの状態が、平素からずっと続いている訳です。
その他、目の舌にもクマを作りやすいですし、爪の甘皮を見ると、やはり赤黒く変色しています。
実は、末梢神経障害に陥ると、歯肉や唇の色も黒ずんできます。そして、チョットした擦れで、血行不良により口内炎が出来やすくなります。
鍼灸師の世界では、白くなった潰瘍の部分であるアフタ性口内炎の真ん中に、ハリを刺入させる事で、口内炎周辺に出血を促す施術をします。この事によって、口内炎の周囲の血流が疎通して、治りが早くなるのです。
紫舌体質に合わせて出やすい随伴症状は、
● シミ、そばかす
● 下肢静脈瘤、クモ状血管腫、青あざが出やすい
● 女性の場合は、生理痛、子宮内膜症
● 下腹部、ヘソ下左側の疝痛
などです。
つまり、ギザギザ舌タイプと、紫舌タイプを併せ持った体質の場合は、より、舌癌のリスクを引き上げる可能性が高いので、漢方薬服用、食養生などで体質改善をする必要があります。
舌癌自体は、全体の癌病変の1~2%なので、それ程心配する必要な入のですが、身体の中の内臓と異なり、自己診断ができる部位なので、治りにくい口内炎が出来た時には、口腔外科を受診する事をお勧めします。