幻〇舎や現代〇林の出版社から…営業の電話が入る。その撃退法

 

最近、私のメールボックスや直接電話で、

 

「先生、当社から…出版をしませんか!」

 

と言う、元気の良い男性から営業が入る事が多いです。

多い時には、1カ月に5件くらい売り込みが入ります。

いったん断っても、数か月経過すると、

また、同じ会社からメールと電話案内が繰り返されます。

 

これらの出版ビジネスモデルは、どの様な形態なのでしょう?

 

こうした営業電話の殆どは、言葉の表現は異なりますが、「共同出版」とか「協力出版」、「流通出版」と言う表現で出版が行われます。このような出版形態に関して

「書籍の所有権は、出版社に帰属するのか?著者にあるのか?」さらには、

「著者は消費者か事業者か?」について、考察してみましょう。

 

私見にはなりますが、こうした営業電話の本質は、従来から存在する「自費出版」と変わらない形態だと思っています。それぞれの会社が提案する内容を見れば、大きな違いはなく、著者に一定レベルのコスト負担(300~500万円)をお願いする形で、出版をして行きます。各社の差異は、編集の仕方や流通部数の増減が、微妙に異なる程度です。

 

その中には、新人著者を公募で募りコンテストを行い、最優秀者にグランプリの賞を与え、出版を促す…賞ビジネス商法を展開している会社もあります。

さらに、「アナタの本が、全国の有名提携書店に一定期間、平積みで並びます」と謳って勧誘する例もあります。

 

出版を考えている方にとっては、非常にうまい口上だと思います。

 

実は、このビジネスモデルは、「士業」や「医師」向けに、超大手有名出版社もこの分野に参入しているので、既に、ひとつの営業業態として確立されているのかもしれません。

でも、せっかく出版をして行く訳ですから、どの様な形態で出版が成されるのか?注意して見定める事が必要です。

ここで、注意しなければならないのは、純然たる自費出版会社が行っている「共同・協力出版」と、商業出版社が行っている「条件付出版」、または、「タイアップ出版」は、全く同一ではない所です。

少し細かくなりますが、商業出版社が行う「条件付出版」の場合、著者は、「事業者」ですが、書籍の「所有権」は、実は、言うまでもなく出版社のものです。

一方、自費出版業者が行う「共同・協力出版」の場合は、契約書に強く関係してきます。

 

出版契約書の中で、印税の条件の項目に、仮に、著者が協力金と言う出版費用を負担する契約であれば、もしかすると、著者と事業者は同一と解釈され、「著者=事業者」となります。このケースの場合、書籍の所有権は出版社のものになります。

この事は、「共同出版・協力出版」を展開する出版社は、自ら「自費出版」であると考えている事に他なりません。

うたい文句の中には、書店に送り届けるような「流通」は、「自費出版」の中の付帯サービスとして、コストを要求している場合もあります。

 

一方、仮に純然たる「自費出版」ならば、著者と出版社の間の「請負契約」になる訳で、請負書や明細書には、細かい明細をオープンにしなければならない義務も生じてきます。その中には、出版社側の利益になる「請負手数料」「諸経費」などの項目が出てきても、著者側は納得しなければならないでしょう。

 

セールストークを良く聞くと、「流通」と言う名目で、色々な負担を強いるような項目を設け、消費者である著者に対し、誤解を与えるような表現は、慎むべきでしょう。細かい事ですが、仮に売上金が発生した場合でも、その還元する流れは、事前に細かいチェックが必要になります。

逆に、こうした営業スタイルが、自費出版ではない…と主張するのであれば、今度は、著者は事業者になるので、売上金の還元という方式は、一種の経済活動に相当するので、どちらの考え方でも、「消費者と著者を厳密に区別して規定する」事には、無理があると思います。

 

この事から、やはり私見にはなりますが、「共同・協力出版」は、疑似商業出版なのではないか?と考えるのです。

極端に詐欺とまでは言えないですが、それでも、目の前にドサッと納品された書籍を目の前にした時、それが、かけたコストに見合わなければ、やはり、著者は残念な思いを抱くでしょう。ただし、どんな形態であれ、出版を成し得た…そのこと自体にブランドを感じる層が、一定数以上存在する事も確かです。

 

例えば、自社のホームページに、出版履歴が載っているだけで、

「この先生は、何かスゴイ事をしているのかもしれない」と、思ってもらえるだけで、当初の目的は達成しているのかもしれません。

 

私は、こうした営業電話がかかってきた時に、必ず問いかける「撃退トーク」があります。

 

それは、

 

御社から、その出版システムで販売された本の…「重版率」を教えてください!と聞くのです。

 

電話の向こうの担当者は、数秒間の沈黙の後、

「個人情報に関係する事なので、お答えできません」などと返してきます。

 

結局は、そういう事なのだと思います。別に重版率を答える位、何の問題も無いと思うのですが…。