カミさんとの小旅行で、「足尾銅山」にも出向いてきました。
当時の工夫さんが乗っていた「トロッコ」に乗って、炭鉱深く入って行きます。炭鉱の中は、縦穴・横穴を通じて、「全長2000Km」も掘り進み、炭鉱の断面図は、「アリの巣」のように、縦横無尽に網の目のように成り立っています。
実は、「銅」は微量金属元素として、ヒトの体の中で役立っています。
銅は、鉄から血液中の赤血球が作る過程で、補助するミネラル元素の栄養素です。体の中では、特に骨・骨格筋・血液に多く存在し、成人で約80mg程、存在しています。
赤血球中には、ヘモグロビンと言う赤い色素があり、主成分はヘム鉄として存在しています。実は、「銅」はこのヘモグロビンを作る為、鉄分を必要な場所に運ぶ役割を担っています。
この事から、鉄分を十分に摂取していても、銅の助けが無ければ、赤血球を上手く作る事は難しくなります。最終的には、貧血傾向になってしまいます。その他、銅欠乏症は、胃切除術後でも吸収障害を受けます。
これは、私の歯科領域にも関係して来るのですが、近年、味覚異常を訴えてきた患者さんに、味覚を回復させるために、「亜鉛製剤」を処方する時があります。
その治療法は、決して間違ったものではなく、科学的にも薬理効果は証明されています。
ただ、その過程で、あまり長い間、亜鉛を摂取してしまうと、副作用として、「銅欠乏症」を生じてしまうので注意が必要です。
また、亜鉛は健康に良いと言う情報を鵜呑みにして、5年間以上、1日、牡蠣を15~20個程度、毎日、食生活に取り入れていた方にも、銅欠乏症は発症しています。
銅は身体の中の多くの酵素の役目を担って、活性酸素を除去する時の働きをしたり、骨の形成を補助したりしています。
日常生活の中でも、銅は、抗菌作用、保温・伝温作用により、ビールジョッキ、キッチンの生ごみ入れの三角コーナーにも活用されています。
どんな食材に多く含まれているかと言うと、貝類、イカ・タコなどの魚介類、レバー、ナッツ、大豆、ココアなどです。
どの位の摂取量が良いかと言うと、日常生活に普通に食事をしているだけで、充分な量は取れているので、銅欠乏性の貧血が起きる事はありません。バランスの良い食事であれば問題ないです。
一方、サプリメントなどで大量摂取した場合には、急性の肝障害などを引き起こすので注意が必要です。
銅は、「金と同じ」と書きます。
10円玉を通じて、普段から身近な金属です。そんな金属でも、江戸時代から炭鉱の工夫さんが、汗水流しながら採掘してくれていたんだと学びました。