カミさんとの小旅行では、カミさん主導のワイン巡りだけをした訳ではありません。ちゃんと、私の希望も取り入れてもらいました。
実は、私は、鮎が大好物です。
香魚と言われているように、何とも言えない香りと、ハラワタの苦甘い感じが口に広がるにつれて、食欲もドンドンそそられえてしまいます。
加えて、鮎は、そのお姿も美しいです。スッキリとした光沢のある流線形に、金色の線が、口先から尾の方まで、シュッとアクセントの色が入っている所などは、なかなかの美人さんです。
栃木県には、「鮎やな」の観光名所が多々あります。
川の中にすだれの様な大きな網を張り、子供などは、手づかみで鮎をゲットして、炭火で焼いてもらって、その場で御馳走になります。周りの木々に囲まれ、川のせせらぎを聞きながら、吹きさらしの建屋で食事をしても、何故か、全く暑苦しくありません。
森と川が生み出す、マイナスイオン…恐るべし、と言う感じです。
あんまりお腹が空いていたので、出てきた料理の写真を撮る事を忘れてしまう程でした。後で見返してみたら、注文してから待たされている間の、炭火で塩焼きしている厨房の様子しか画像に残っていませんでした。
実は、鮎も漢方薬的な食養生で解釈する事が出来ます。
食性は、やや温性で、胃腸を温めます。脾胃の経絡に良い影響を与えます。夏場は、冷たい食材を食べる事が多く、胃腸を傷つけやすい季節です。そんな時でも、お腹に優しく消化を助けてくれます。
加えて、利水の働きもあります。身体に溜まった、ジャブジャブした水毒を、身体からデトックスしてくれるので、胃内停水と言う、胃もたれ感、食欲不振も主治してくれます。
所で、職業柄、魚と言えども、口先の骨格の形に目が行ってしまいます。鮎は、やや下顎が受け口で出ています。これは、主食である「藻」を食べる事に適した形状です。このエサとなっている藻が、あの独特の香りと苦みを生み出している訳です。
そう言う観点で見ると、全く違った進化を辿った魚もいます。
シープヘッド・フィッシュです。まずは、以下の2つの動画をご覧ください。
人間の歯列と比較しても、どっちがヒトの物なのか?歯を見ただけでは見分けが付きません。
そして、シープヘッド・フィッシュの前歯を見ると、ナント、人間と同じように、近心隅角は鋭角で、遠心隅角は丸みを帯びている所までそっくりです。
隅角とは、歯の尖端の角っこの事で、正中に近い方の角は、角度がハッキリして、正中から遠い方の角度は、やや丸みを帯びる…と言う解剖学的な形態です。
しかも、シープヘッド・フィッシュの奥歯を見ると、人間の臼歯のように歯の山が乱立しています。この事から、硬い食材を、前歯で咬みきり、奥歯ですり潰しながら噛み砕いている食性が伺えます。
鮎のように柔らかい苔を食べるには、こそぎ取るだけで栄養が補給できるので、歯のような構造物は必要ないのです。
顎の形と歯の形態を見れば、その生き物がどの様な栄養補給をしているのか?おおよその検討がつく所が面白いです。