「からだにいいこと」12月号の折り込み巻頭付録に掲載されました。

 

先月取材を受けた、健康雑誌の「からだにいいこと」の記事が完成し、巻頭折り込み付録として形になりました。

 

雑誌本体から切り離して広げると、B4サイズのポスターの大きさになります。

冷倉庫、トイレの壁などに貼付してもらえると、日々活用できます。

 

細かい内容は、実際に購読して頂けたら有り難いですが、その中で、特に注意していなければならない舌の状態として、付録2枚目の左下に、

「かなり危険舌」これに当てはまったら病院へ!と言うコラムが掲載されていました。今回は、この部分を掘り下げて解説してみましょう。

 

①舌苔が黒い

こちらは、喫煙者にも表れやすいので、鑑別が必要になりますが、舌苔全体に黒い苔が付いてきます。東洋医学では、「胃熱」が盛んな方に出てくる事が多く、胃粘膜に潰瘍性病変や異形成があると、色が濃くなってきます。さらに舌の表面が渇いて来て、口腔乾燥が出てきます。

これを、漢方体質では「湿熱蘯聚」(しつねつどうじゅ)の状態にあります。簡単に解釈すると、「湿」と言う概念が身体に中に蓄積し、その粘り気によって、盛んに「熱」を抱える体質の事です。

 

最初の内は、舌苔も白いのですが、その熱が燃え盛るにつれて、色が黄色~焦げ茶~黒へと変化してきます。

 

胃の中が溶鉱炉のように燃え盛っているので、食欲は出ませんが、食べれば食べる事が出来てしまいます。食べた物は、その熱で瞬時に溶かされてしまいますが、すぐに腸に流れる事は無く、しばらくの間、胃内に留まる様になってしまいます。

 

その熱により、舌の苔も焦げてしまうので、色が黒くなってしまうのです。

 

当然、焦げた肉の様な、紙が燃えたような口臭が出てきます。

 

生活習慣では、暴飲・暴食傾向、水を飲むのが好き、味の濃いもの、脂っこいもの、カロリーの高い物が好き、暑がり・汗っかき、頭髪が薄い、湿疹・吹き出物が出やすい、皮膚の質感が脂性、体格は良い、尿量・排尿回数も多い、大便の質感はネットリして、臭気が強い、オナラの回数も多い。などです。

 

随伴症状として、胃もたれ、呑酸、目赤、倦怠感、口渇、慢性疲労なども併発します。

 

漢方薬では、胃熱を引き下げる、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、通導散(つうどうさん)、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)などが処方されます。

 

 

②舌が真っすぐ出せない

こちらは、漢方体質では「肝火上炎」(かんかじょうえん)「肝風内動」(かんふうないどう)に傾いている事が多く、脳卒中や心筋梗塞に移行しやすいです。

特に、アカンベーをした時に、舌先が正中腺から外れ、舌先が左右にシフトしており、尚且つ、舌の表面を見ると、舌が細かくピクピク・ヒクヒク痙攣しているようですと、危険信号のカウントダウンが始まっている可能性が高いです。この「肝風」は、季節に強い風が吹く時に影響を受けるので、春一番、台風シーズン、秋の空っ風の時に、突然、問題が発生しやすいです。

 

加えて、日常会話で、言葉に詰まる、ろれつが回らないなどが併発するようでしたら、すぐに専門病院に行った方が良いです。

 

脳は、日常生活動作において、細かい電気信号を発信し、筋肉の動きを制御しています。ところが、何処かの血流に滞りが出てくると、上手く動かす事が出来なくなってくるのです。以前ご紹介した「ホムンクルス人形」において、脳の集中管理している部位の重要度によって、身体の大きさを大きく表現する人型の中で、特に「手」と「舌」が大きく描かれています。

 

血流の変化から出る脳の障害は、真っ先に「手」と「舌」に出やすいのです。

 

この事は、舌が真っすぐ出せないと、並行して、指先の動きの上手く動かなくなります。物をよく落としたり、手が震えたり、パソコンのキーボードで、ミスタッチが多くなるなどの変化が出てきます。

 

口臭では、天ぷら油の様な臭いが出てきます。

 

生活習慣としては、イライラ、情緒不安定が出たり、寝つきが悪く熟睡感が無い、良く夢を見る、胸・お腹・脇に拘束感や圧迫感がある、排尿や排便がスムーズに出来ない、タイミングも一定しない、女性では、生理不順が出たり、生理前症候群として胸が張るイライラ、涙もろくなるなどが出てきます。

 

随伴症状としては、TIA(一過性脳虚血発作)、めまい、よく転ぶ、口論で血圧上昇などが出てきます。

 

漢方処方は、炙甘草湯(しゃかんぞうとう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、冠元顆粒(かんげんかりゅう)、釣藤散(ちょうとうさん)などを合方していきます。

 

 

③舌裏の血管が、いきり立った様にボコボコ、節くれ立っている

この漢方体質は、「お血」(お…やまいダレに於)です。現代風に言えば、ドロドロ血に相当します。血液の流れが悪くなるので、真っ先に目で見て解る血管に、滞りの変化が出てくるのです。舌は脳に位置する事から、脳卒中に移行しやすいです。健康診断などで、頸動脈のエコー検査をすると、既に血管内壁に、ベタベタ汚れのプラークが付着して、狭窄が始まっています。

 

舌の裏の血管は、「舌下静脈」と言って、唯一、直視できる静脈です。左右一対あります。

 

特に、左右差…片方の血管はボコボコなのに、もう片方には血流が流れていないなどの兆候が出ていたら、すぐに病院に行って、検査した方が良いでしょう。

 

口臭は、何となく「血生臭い」ような、レバー臭が出てきます。

 

生活習慣では、太りやすい、目の周りに黒っぽいクマが出る、唇や歯茎の色もどす黒い、肩や背中が固くなって凝っている、手足に痺れ感がある、夏でも手足腰が冷える、下肢静脈瘤がある、しみ・そばかすが増えた、簡単にあざが出来る、冷えとのぼせが出る、頭痛・めまい・耳鳴りが出る、生理不順や生理痛が出るなどです。

 

随伴症状は、歯槽膿漏、高血圧、高血糖、高脂血症、子宮筋腫、子宮内膜症が併発します。

 

漢方処方は、冠元顆粒(かんげんかりゅう)、血腑逐お湯(けっぷちくおとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などを用い、便秘傾向が強ければ桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、通導散(つうどうさん)、冷えと貧血傾向があれば、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を処方します。

 

拙書「病気の9割を寄せつけない たった一つの習慣」にも記述しましたが、

舌は、「健康の見える化」が、簡単にわかる臓器です。

 

「なんか、最近、普段と違うな」と感じたら、早めに医療機関に出向くようにしてみましょう。