最近、カミさんは「ヨガスタジオ」に通ってヨガを始めました。仕事が終わって、速攻で隣駅の川崎まで2人で出向いて、バイバイします。私は待っている間、本の執筆活動をしています。
カミさんは、その日の就寝前、習ってきた事の復習の意味を兼ねて、ベッドの上で体をくねらせます。
「アナタも、やってみたら」と言う事で、自然の流れで、私も付き合う羽目になります。
変な風に両足を組みなおして、反対側に腰を捩じります。
なかなか上手く出来ないのですが、カミさんからは「もっと、ここまで」などと葉っぱをかけられるので、無理して、さらに身体を不自然に捩じります。
その瞬間、腰に、「ピキーン」とした刺激が走りました。
案の定、翌朝起きた時に、左腰だけ腰痛になりました。
普通に歩く事は出来るのですが、屈んだり、捩じったりすると痛みがぶり返します。歯科医師は、診療台に対峙して、患者さんの歯をのぞき込むような姿勢になるので、その時に、ブチッと痛みが再発するのです。
市販の湿布薬を貼って、養生しているのですが、1週間たってもあまり改善しません。
東洋医学を専門としており、鍼灸師の手前、何とか自分で治す…と、大見えを切りました。
【東洋医学で考える腰痛】
東洋医学では、筋肉や関節の痛み、しびれ、運動障害を「痺証」(ひしょう)と考えます。
「痺」(ひ)という漢字は、滞る、不通になる、詰まるのような意味があります。 体の気血の流れに障害が起きると、そこに違和感が出てくるのです。
例えば、肩こりは、筋肉の血行が悪くなり、気の損耗により筋肉の栄養が滋養されないと、こわばりや痛みが出てきます。また、椎間板ヘルニアは、神経根が圧迫を受けた時に、しびれ感や運動障害が出てくるのです。
今回の私の腰痛の場合も、まずは、安静・鎮痛・去湿・疎通がメインとなります。
ただ、痺証に関しても、幾つかの種類が考えられます。その見立てを誤ると、誤治になってしまいます。
【痺証の分類】
①寒痺…主に上半身が主訴です。どちらかと言うと、激痛が特定の場所に限局して発生してきます。そのキッカケは、寒さに由来してきます。冬場の寒冷刺激は、血行不良・神経の疎通を悪化させます。何より、寒冷により筋肉が拘縮してきます。
対処法は、やはり、患部を冷やさず、入浴で温めると痛みが軽くなります。概して、日中よりも夜間に痛みが助長する傾向に有ります。特に、関節を屈曲する事がつらくなるので、日常生活に支障が出てきます。
②湿痺…関節に重だるい感じが出て、痛みは限局性でしびれた感じが出やすい特徴がある。特に、降雨時に湿度が上昇すると、特に痛みが強くなる。身体に湿が溜まって起きる事から「湿痺」(しつひ)」と称される。湿痺は、やはり入浴をしてひと汗かくと痛みは軽減する。湿痺の鑑別点は、舌に白~黄色い苔が、分厚く付着する事が多い。
湿痺を改善していくには、独歩丸単独か、または勝湿顆粒、星火温胆湯などを、それぞれ独歩丸に併用していく。
③熱痺…関節や筋肉が、一時的な炎症により、発赤し腫脹を伴い患部に熱感を持つ。加えて、微熱が出て、口の渇き、口内炎、目赤を伴う事も多い。特に、患部を冷やすと心地よくなるので、初期は冷罨法を施す事が悪化させない養生法になる。臨床的には、リウマチ疾患・スポーツ外傷で良く見られる。
こうした痺証の内、やはり「寒痺」と「湿痺」を疑ったので、私の場合は、患部を温めて、湿をさばく養生法を取り入れてみました。
漢方薬は、「桂枝加苓朮附湯」(けいしかじゅつぶとう)と「薏苡仁湯」(よくいにんとう)を2剤併用で服用してみました。
特に、薏苡仁は単味でも販売しているので、お菓子感覚でボリボリ食べています。薏苡仁は、ハトムギの事などで、胃腸の働きを健常にして、美肌効果、去湿、消炎作用があるので、湿痺には、有効と判断してみました。既に、4分の一ほど食べています。慣れるとほんのり甘みがあって香ばしくて美味しく感じます。
お蔭で取り組んでみて、1週間で効果は出てきて、腰痛はだいぶ楽になりました。就寝中に、寝返りを打っても、激痛が走りません。これからは、どんなに周りからやる気がない様に見えようとも、ヨガをする時は、関節可動域を超えて無理に動かす事は控えようと心に決めました。