「うがい」って、本当に効果があるの?

 

日常臨床で、口内炎、口臭、歯周病などの予防・殺菌を目的として処方される代表的なお薬として、

「イソジン」と「アズノール」があります。

インフルエンザやコロナ肺炎が心配な昨今、この2つは、何が違うのか?について、考察してみましょう。

 

【イソジンとアズノールの作用機序の違いについて】

●イソジンガーグル液(成分名:ポピドンヨード) 

●アズノールうがい液(成分名:アズレンスルホン酸ナトリウム)

最初に、イソジンとアズノールの作用について比較していきます。実は同じうがい薬でも、成分が違い、作用の仕方が異なります。医療用医薬品である、イソジンガーグル液とアズノールうがい液について比較してみましょう。

 

イソジンガーグル液(ポピドンヨード)

イソジンガーグル液の成分は、「ポピヨンヨード」になります。ポピドンヨードは、ヨウ素を酸化させた成分で、ヨウ素を緩やかに遊離することで、殺菌消毒作用を有します。

ポピドンヨードは、うがい薬としてだけではなく、手指の殺菌や傷の消毒薬としても殺菌力の高さと安全性の面で幅広く使用されている成分です。様々な細菌に対して殺菌効果があることに加え、ウイルスに対しても不活化させる(本来の働きを失わせる)効果が期待できます。

効能効果

咽頭炎、扁桃炎、口内炎、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防、口腔内の消毒

 

アズノールうがい液(アズレンスルホン酸ナトリウム)

アズノールうがい液の成分は、「アズレンスルホン酸ナトリウム」になります。アズレンスルホン酸ナトリウムは、抗炎症(炎症を鎮める)効果があり、腫れや痛みなどを和らげる作用があります。のどや口内に炎症を起こしている場合などに用いられます。

また、アズレンとよばれる成分は軟膏の塗り薬もあります。同様に抗炎症作用により、患部の炎症を和らげ、傷の治りを良くする効果があります。副作用の心配はほとんどありません。

効能効果

咽頭炎、扁桃炎、口内炎、急性歯肉炎、舌炎、口腔創傷

 

●作用の違いまとめ

イソジンガーグル液は、「殺菌消毒作用」を示すため、予防的なうがいから、実際にのどの痛みがある場合にも使用されます。一方で、アズノールうがい液は、消毒薬とは異なり、「抗炎症作用」をもち、実際に炎症を起こしている場合に効果が期待できます。

 

【イソジンとアズノールの使用方法の違い】

イソジンガーグル液:本剤2~4ccの原液を60mlの水で希釈して使用。帰宅後など、1日数回、希釈液を口に含んで含嗽する。効果を期待して、濃い目に使用しますと、喉がヒリヒリ痛みを感じます。元来、イソジンは、粘膜に慎重投与が原則なので、用法用量は必ず守った方が良いです。

アズノールうがい薬:1回4~6mg、水100mlに5~7滴を滴下して希釈後、1日数回、含嗽をする。

 

【歯科医師が勧めるうがい法】

うがいと言うと、ただガラガラ・ペッとやりがちですが、私が患者さんに指導する時は、やり方が少し異なります。まず、顎を上に向けて、うがいをするのですが、その際、出来れば、舌先を出したり引っ込めたりしながら、ガラガラ音を出すのです。これを10~20秒継続します。こうする事で、喉の深い所まで洗口液が行き渡りますし、舌を前後に動かす事で、舌根部に付着している汚れや菌も洗い流されるのです。その際、ガラガラやっている時に、つい、嚥下をしてしまうと、気管の方に流れてしまいますので、充分注意しながら行います。

 

そして、これから行う次の作業も重要なのですが、ガラガラが終わったら、今度は、ブクブクに移るのですが、結構皆さんブクブクうがいを、歯列の内側の空間だけで、小さくやってしまいがちです。出来れば、洗口液を頬粘膜、外側の歯列まで行き渡らせて、頬の筋肉を大きく動かして、表情が変わる位大きくうがいする事が重要です。

 

【イソジンとアズノールに共通する注意点】

どちらの薬剤も、殆ど副作用を有しないので、安心して使えますが、ヨードに関しては、甲状腺に疾患を抱える方は、使用を制限される場合があります。また、作り置きも慎んだ方が良いので、その都度、希釈して使用します。余ったものは放置せず、流水下で排水溝に流します。まれに、シンクに色素沈着する時があるので、多めの流水でしっかり流しておきます。