7月某日、カミさんとランチに出かけて、夜の9時ごろに帰宅したところ、赤色灯の明かりがほのかに見えてきました。我が家に近づくにつれて、その回転灯が示す場所は、自宅の真ん前である事が解り、
「ただ事ではない!」
と、思うに至りました。
人間は、驚くような事を目にすると、ほんの数秒の間に、色々なことが頭の中を去来して、最悪の事態を想定して、思いを巡らせてしまいます。
「通り魔事件でもあったのか?」
「わが家が放火されたのか?」
「コロナ肺炎で急病人が出たのか?」
徐々に、わが家が見えてくるにつれて、ドキドキ感が増してきます。しかも、警察官が、交通整理して対面交通を誘導しています。現場はただならぬ雰囲気で、バタバタしている様子が解ってきました。
よく見ると、パトカー2台、何かの工事車両2台(これは後で事情が分かります)、お巡りさんが駆けつける時に使うバイク1台…こんな感じです。
1車線をつぶして、交通整理をしている場所は、正に、わが家の駐車場の入り口です。当然、パトカーや工事の車両がふさいでいて、入庫することはできません。
いよいよ、家の直近まで近づいて、現場の警察官に問いただします。
「何があったのですか?」
「ここの住人なのですが、駐車場に入れる事は出来ますか?」
すると、事情を説明してくれました。
「夕方の6時ごろ、自動車の物損事故が起こり、この電柱が根元から折れかかっています」
「ぶつかった車は、現場から逃走しました」
「電線が切れたことで、一部の住居は停電をしており、東京電力が駆けつけ、現在、復旧工事をしている最中です」
おおよそ、こんな感じです。
折れかかっている電柱のすぐ脇が、わが家なので、ぶつかった影響が、家の外壁などに出ているかな?と、ざっと見まわしたのですが、夜の闇の中ですが、損傷は無かったようです。また、幸いにも、切れた電線は、ホンの数メートル奥だったので、わが家は停電の影響を受けませんでした。
現場を見ると、ぶつかった衝撃で脱落した車のバンパー部品がありました。
黒い色でしたが、車種までは分からなかったです。
電柱が折れるほどの衝撃ですから、黒い車もタダでは済まなかったはずです。恐らく、エアバッグは開き、フロントのラジエターが影響を受ければ、冷却水が漏れだし、そんなに長距離は走行できないはずです。何より、そんな車が街中を走れば、思いっきり目立ってしまい、目撃者多数です。
遅かれ早かれ、警察は本人にたどり着くでしょう。
本当に幸いだったことは、歩行者を巻き込まなかった事です。あれだけの衝撃なので、もし、車との間に挟まれたら、大けがを負っていたかもしれません。
警察官と問答をしていると、
「今は、東京電力の工事車両が、電線を修理しているので、駐車場の前からどかす事は難しい」
「出来れば、しばらくの間、他の場所で待機してもらえないか」
と、要請を受けました。
仕方なく車を移動して、近隣のスペースで待っていると、カミさんから電話がかかってきて、「今、修理がひと段落したので、工事車両を動かすことができるので、戻ってきて」
と、促されました。
それでは…という事で、野次馬さんに見られながら、ゆっくり駐車場に収めました。
(私は、何も悪い事はしていないのに、指をさされながらヒソヒソ話をしている様子が解ります)
その後も、作業は3時間ぐらい続き、工事車両は引き上げていきました。
何とか、近隣住民の電力供給も、その日の内に復旧したようです。
【事後、どんな責任を負う事になるのか…予想】
まず、当て逃げをしてしまうと、運転免許から減点を受けます。7点を引かれるので、「一発免停」です。仮に、逃げずに警察に報告をして、事故証明書を受ければ、反則点数は課せられません。民事で、任意保険を使って事後処理をするので、大きな責任を負うことにはなりますが、免停にはならずに済みます。
次に、公共物を破損した事による補修の負担ですが、
ネットで調べたところ、「電柱」1本のコストは、思いのほか安く、25,000円~200,000円程度みたいです。ただし、電線が切れてしまった場合は、作業員を乗せるゴンドラ付きの工事車両が出動するので、数百万単位の責任を負う事になります。
加えて、停電したことにより、近隣住民に被害が発生した時には、損害賠償を請求されることもあるでしょう。例えば、一定時間停電したことにより、冷蔵庫が停止し、冷凍食品が全滅したり、突然、電源が落ちたことにより、パソコンなどの精密機器が影響を受けて、何かのデータが破損したりする事も充分考えられます。
逃げてしまったら、良いことは一つも無いのです。
でも、もし自分が同じ立場になったら…どうするのだろう?
本当に冷静でいられるのだろうか?自問自答をしてしまいます。
翌日には、本格的な復旧工事が入り、電柱も元の状態に戻りました。でも、今度の電柱は、コンクリート製では無く、アルミ製・ステンレス製?のような、簡素なものに変更になりました。
これで強度は大丈夫なのか?少々心配です。