春に咲く草花…実は、生薬として役に立っているもの

 

春先は、芽吹き時です。長かった冬の季節を超えて、生き物、植物が、新しい季節に備えるために、勢いを上げる時期です。

 

その中で、実は、沿道に咲く草花にも、多くの薬草があります。

緊急事態宣言も解除され、外出する機会も増えてくる昨今、少し、植物にも目をやる機会を持つと、多くの学びを得る事が出来ます。

 

①木蓮(モクレン)

ちょうど、3月にモクレンの白い花が咲いている所を目にすると思います。白い花で、とてもキレイです。

 

 

木蓮の花言葉は…「高潔な心」です。

 

生薬名は「辛夷」(しんい)です。主に、つぼみの部分が用いられ、コクラウリンと言うアルカロイド成分を含み、鎮静、鎮痛、抗炎症作用があります。特に、風邪による頭痛、鼻炎などに効能が見込めます。

 

私も、口臭治療の際「辛夷清肺湯」(しんいせいはいとう)と言う漢方薬を用いる時があります。

 

②菫(スミレ)

 

スミレの花言葉は…誠実、控えめです。

 

 

生薬名は「紫花地丁」 (シカジチョウ)と呼んでいます。主に清熱・解熱,消腫を目的に用いられ、皮膚の化膿症した部位に応用し、下痢による駆虫薬、各種の炎症性疾患、特に結膜炎に用いられています。

 

 

③連翹(レンギョウ)

 

レンギョウの花言葉は…かなえられた思いです。

 

 

生薬名は「連翹」(レンギョウ)です。この生薬は、チフス菌、パラチフス菌、大腸菌、緑膿菌、肺炎双球菌、百日咳桿菌などに対して強い抗菌作用があります。この事から、消炎、利尿、排膿、解毒薬として、古来より珍重されてきました。特に、皮膚の吹出物、疥癬(かいせん)などの皮膚病に著効します。この事から、皮膚疾患に使われており、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)が、最も有名です。

 

④はこべ(はこべら)

 

はこべの花言葉は…寄り添う、ランデブーです。

 

 

生薬名は、繁縷(ハンロウ)です。花期の3~6月に茎葉を刈り取り乾燥させたものを用います。身体の中を浄化、解毒する作用があるので、産後の浄血薬、催乳薬、胃腸薬、湿疹、皮膚炎の治療薬として用います。さらに、この粉末と少量の塩を混ぜたものを「ハコベ塩」と称し、歯茎に擦り込むと、歯肉出血、歯槽膿漏の予防にも効果があります。

 

歯磨き粉が出来る前は、もっぱら、歯周病予防に重用されていました。

 

 

⑤沈丁花(じんちょうげ)

 

沈丁花の花言葉は…不滅の栄光です。 

 

 

生薬名は、沈香(ジンコウ)です。特に花と葉に有効成分が含まれ、喉の違和感、喉痛の予防効能があり、喉の腫れ、歯肉炎にも効果が見込めます。この事から、含嗽剤としてうがい薬として用います。その他、リウマチの痛みに、煎じ薬を内服する時もある総じて、煎じ汁で体を洗うと、皮膚炎の予防につながる民間療法もあります。

 

春に咲く花々には、総じて消炎、沈痛、皮膚症状への配慮がなされています。まだ、身体が本調子になる前の、免疫力が落ちた身体を鼓舞する作用があります。