今月は、シンエヴァンゲリオンのレビューを通じて、アダルトチルドレンについても触れてみました。追記する形で、これが、どんな病態で、東洋医学的な漢方処方について解釈を加えてみましょう。
【アダルトチルドレンとは、どんな病気?】
アダルトチルドレンとは、幼少期に家庭内に何らかのトラブルがあり、子供も巻き込まれ事により、トラウマを受けてしまい、その事を抱えたまま成長し、大人になってしまった方のことを表します。例えば、両親が、夫婦喧嘩により暴力的な光景を見てしまった、親同志が口論を繰り返し離婚してしまった、親がアルコール依存症で、子供に暴力をふるってしまった…など、きっかけは多種多様です。
その為に、大人になってから現れる症状も多岐にわたり、自己否定、自傷行為をしたり、対人関係で社会生活に支障が出たり、友人、恋人など、他人と親密な関係を構築しにくいなど、訴える症状はまちまちです。
私は、口臭で悩んでいる方も、広義の意味で、こうした心身にダメージを負ってしまった方が内在しているのではないか?と、睨んでいます。
【アダルトチルドレンの症状】
アダルトチルドレンの症状には様々なものがあります。ありのままの自分に価値がないと感じてしまう、自分の意見を言えず極端に周囲の反応を窺う、ささいなことでの嘘、何か問題が発生した際に全ては自分の責任だと自分自身を強く責めてしまう、被害妄想があるなど多岐に渡ります。これらの他にもありますが、十分な愛情を得られずに育ってきたために、本当の自分は愛される価値がないと感じてしまうことが全てに共通しています。
【アダルトチルドレンの原因】
アダルトチルドレンになる原因と言われているのは、機能不全家族の中で育つことです。機能不全家族というのは、家庭内で身的虐待や精神的虐待、性的虐待が日常的に起こっている家庭のことで、この中で育ってしまうと、この病気にかかってしまう可能性があります。両親や家族にじゅうぶんな愛情を与えてもらえなかったり、または逆に両親や家族から愛情を受けすぎたりした場合にも、かかる場合があります。
【アダルトチルドレンの検査と診断】
アダルトチルドレンの検査方法は、各種の判別用の診断表によるチェックによって、該当するかどうかを判断する事ができます。対象者のこれまで育ってきた家庭環境に関する診断や、成長期に心に負った傷を負った場合の現在への影響を調べる診断があります。総合的に診断結果を評価することによって、この病状に該当するかどうかの診断を行います。
【アダルトチルドレンの漢方処方】
アダルトチルドレンの漢方治療は、東洋医学の中に「アダルトチルドレン」と言う体質(証)は何処にもないので、出てくる症状から、逆引きで類推するしかないです。いずれも、身体がイケイケ状態に傾いている「実証」と言うよりは、身体も気持ちも、お疲れモードである「虚証」がベースになってくると思います。それぞれ代表方剤を上げて見ましょう。
●肝気うっ血証
四逆散(しぎゃくさん)、柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)
●気虚証
六君子湯(りっくんしとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
●血虚証
帰脾湯(きひとう)、四物湯(しもつとう)、温経湯(うんけいとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、当帰飲子(とうきいんし)