私の自家用車は、「電気自動車」(EV)です。ハイブリット車や、プラグインハイブリッド車のように内燃機関と併用するものではなく、純EVです。
はじめてオーナーになって、6年7カ月くらい所有しています。
EVは、乗り手を選びます。
航続距離は短いですし、充電時間は30分もかかるので、不便な所もいっぱいあります。
でも、1回乗ってしまうと、音と振動が少なく、トルクがあるので、出だしの加速が良いなどの利点もあり、私自身は、もうガソリンを使う内燃機関には、「絶対に戻る事はない」と考えています。
現状のEVの最大の懸案事項は、バッテリーの性能向上です。
●エネルギー密度が沢山あって(たくさん電気を蓄える事ができて)
●充放電回数が多く確保されていて、
●電池の劣化が少なく、
●科学的に安定していて、少しの衝撃で燃えたりしない。
●出来れば、レアアースなどの貴重な資源を用いない物が求められています。
その為に、各社、色々な鉱物資源を混ぜ合わせ、最適な蓄電性能を持つ相性を検証しています。近年では、液状成分を用いない「全個体電池」の開発もされていますが、試作品は出来上がっているものの、量産化、コスト低下までは至っていません。
現在の電気自動車には、リチウムイオン電池を使う事が多いです。
そんな中で、生薬の成分が電池に応用できるかもしれない…と言うレポートを見つけ、パソコンの画面を食い入るように読みました。
村田和也著
「生薬から電池ができる? アントラキノンを用いたフロー電池を開発」です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/50/8/50_811/_pdf/-char/ja
このレポートで、フロー電池と言うバッテリーの原理について説明をしています。この電池は、電解質を溶解した電極液を循環させる事で、炭素電極を通じて、「酸化還元反応」が起こり、電気が起きる仕組みです。
従来は、バナジウムや亜鉛などの金属類が用いられてきました。
ところが、自然界に存在する化合物も利用できる可能性がわかり、蓄電機能を併せ持つことから、地球環境に優しいバッテリーも可能になるかもしれないと、解説しています。
Huskinson らは電解質として、アントラキノンおよび臭素を用いて,金属フリーで安価なフロー電池の開発に成功した。この電池は起電力が大きく、電力供給の安定性にも優れている上、地球上に豊富に存在する炭素,硫黄,水素および酸素のみで構成されていることから、大規模施設を安価に建設することが可能になると考えられ、電池の理想形になると考えられています。
現在、硫酸化アントラキノンは,石油から精製されるアントラキノンを硫酸化することにより工業的に製造されます。特に、製紙工場で大量に使われています。
これからの持続可能なエネルギー社会の維持を考えると、実は、アントラキノンの供給源は、石油資源だけではなくて、植物にも含まれている事が分かっています。
レポートの本文中では、「大黄」や「センナ」にも、アントラキノンが含有されていると報告されています。こうした生薬を、煮出して抽出し精製すれば、豊富に得る事が出来るのです。
バッテリー生産のベースとして、生薬成分にも大きな可能性がある訳です。

大黄

センナ
ところで、この大黄とセンナは、下剤、瀉下剤として用いられ、便秘の治療薬として頻用されています。
人体においても、大便が滞り、それを吐き出すために、これらの生薬が存在し、
その成分が、電池の中で、電子の「お通じ」も良くしている…と考えると、
ヒトも電気も、道理は同じなのだと、思うに至ります。
電池の性能は、日進月歩です。これからも、どんどん、開発が進み、
「エッ、こんな成分の配合で、最良の電池が作れるの?」
と言う、ビックリ箱の様な電池が出てきて、10分の充電で、1000km走る事が出来る電気自動車も出てくるかもしれません。
またまた、長生きするモチベーションが出てきました。