私は、実際に選手として戦う事はないですが、見る方の格闘技は大好きで、ボクシング、プロレス、総合格闘技など、何でもござれです。
最近では、プロの格闘家が、世界戦の試合後の勝敗解説や、プロレスの裏話を動画サイトで披露してくれています。
その中で、ボクサーの赤穂 亮選手のYouTubeチャンネルもお気に入りの一つです。
赤穂選手は、横浜光ジム所属のプロボクサーです。見た目は、「コワモテ」ですが、話を伺うと、誠実なお人柄で、気さくな優しい方のようです。そして、ナントこのボクシングジムが、私が居住する横浜の鶴見に存在しているのです。しかも、歩いて5分の立地です。
その赤穂選手が、サウナをメインに鶴見自慢をしてくれています。
ボクサーは、体調管理と減量が仕事です。
なかなか体重が落ちない時は、近隣の温泉施設に出向いているようです。その壮絶な減量の様子は、こちらの動画が参考になります。
実は、鶴見は、温泉施設や町の公衆浴場、スーパー銭湯などが豊富です。
「鷲の湯」「ユーランド鶴見」「湯けむりの庄」「RAKUSUPA」「スパ・リブール」などを紹介していますが、全て、私も訪れています。
(何故か、ユーランド鶴見の隣に立地する、おふろの国は、完全スルーです。)
家族で出向く機会が多いので、私は「RAKUSUPA」が好みですが、カミさんは、お洒落な「湯けむりの庄」がお気に入りです。
ボクサーは、体重別の階級制です。過酷な減量をパスして試合に臨みます。
そこで、ボクサーが取り組んでいる減量法と、東洋医学的な減量を比較して考察してみましょう。
【ボクサーの減量】
プロボクサーは、時として、試合前の適正体重から10kg以上、減量する事もあるようです。短期間に一気に体重を落とす為に、どのような減量を行うのか?と言うと…。
●最初の1週間は、お菓子や揚げ物などの食事を控えるだけで、体重は3〜4kgは落ちていきます。
●そこから、食べるものを厳選して、ご飯・パン・麺類などの炭水化物を徐々に減らし、逆に高たんぱく、低脂肪、低糖質のメニューに切り替えます。
●試合前になるとトレーニング量も増えてくるので、上記の取り組みと併用すると、さらに、4〜5kgは体重が落ちていきます。これで、合計:10kg前後です。
●ここから、計量の日まで、あと数キロの所まで来ました。最後の2~3kgになると、「水抜き」と言う減量をして、契約体重に合わせます。
【水抜きのやり方】
●実は、水抜きをする1週間前から、飲料水を1日3~6リットルほど飲む事で、水抜きの準備を始めます。
●そして、水抜きを始めるようになったら、塩分を一切カットして、水も殆ど飲まないようにします。
●サウナで汗をかいて体内の水分を出すために、ひたすらジッとして汗を出す訳です。
●日常生活でも、時間があったらサウナスーツを着て縄跳びなどをします。特に有酸素運動は、体に負荷をかけることなく汗を絞り出せます。
事前に大量に水分を摂取するのは『ウオーターローディング法』と言うそうです。
水を出すためには、最初に身体の中をジャブジャブ状態にしないと、絞り出す事は出来ないのです。実は、水分の摂取を少なくしてしまうと、身体の中では、アルドステロンなどの抗利尿ホルモンが分泌されてしまい、体が水分の排出を抑えてしまうので、事前に大量に水を飲んでおくことで、抗利尿ホルモンの分泌を抑えておけば、水分排出能力が高まるのです。
ココで重要な点は、血液の浸透圧を一定に保つために、塩分には血液中の水分量を増やす働きがある事です。ボクサーは、最後のひと頑張りとして、塩分を控える事で、身体が抱える水分量が減るので、自然と体から水分が出やすくなっていきます。同様に、糖質も1gあたり4gほど水を抱え込みます。私達が、普段の食生活で暴飲暴食をした時に、翌朝、身体が浮腫んでいるのは、この事に由来します。
そして、この水抜きをしてしまうと、体は一時的に「脱水状態」に傾きます。私たち素人が安易に取り組むと、熱中症など、命に係わる事態にも鳴り兼ねないので、細心の注意が必要です。
そして、それでも体重が落ちない時は、「垢すり」を頼んで、身体をゴシゴシこすってもらって、古い皮膚を落とします。これだけで、50g程は落ちるそうです。
【減量と漢方薬】
実は、「体重を落とす」と言う観点で見ると、漢方薬にも可能性がありそうです。ドーピングの問題もかかわってくるので、その成分には注意が必要ですが、代表的な方剤をご紹介しておきましょう。
① 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
何と言っても、筆頭に上げられる漢方薬です。「麻黄」が入っているので、オリンピック選手は注意が必要です。本剤は、食欲を増進させるホルモン「グレリン」の働きを低下させる事が特徴で、穏やかに食欲を抑えていきます。また、宿便を促す生薬も配合されているので、お通じを改善させます。加えて、発汗作用がある生薬も配合されています。体の中が温まると、自然と代謝が上がり、取り込んだ栄養を溜めること無く、瞬時にエネルギーに変換していきます。
② 防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)
こちらもオススメの漢方薬で、当院でも、口臭の患者さんに良く処方します。特に、水太りのジャブジャブ体質の方に処方します。本剤は、水分代謝に作用して、体のむくみを取り去る効能があります。ジャブジャブ体質を、漢方では、「水滞」と解釈し、身体の中に「水毒」と言う老廃物が残る事で起きてきます。その原因は、やはり代謝の低下に起因します。
本来であれば、私達が接種した水分は、腎臓の代謝で尿となり、体外へ排出されます。しかし代謝が悪いと、水分が流れる血管や、老廃物を運ぶリンパ液の還流が滞り、その結果、浮腫みが起きて、水太りになっていきます。本剤を服用すると、本当に、小水の回数が増えていきます。ただ、ミイラみたいにカラカラに乾く事はないので、安心して服用できます。
YouTubeの書き込みには、温泉施設で赤穂選手を見かけたという投稿も散見されます。今度、私が遭遇して、減量に苦しがっているようでしたら、漢方薬をオススメしてみようと考えています。