口角からひも解く、ヒトの心理

 

私は歯科医師になって40年になろうとしています。のべ、10万人以上の方を拝見してきました。また、漢方処方が専門になって、30年、鍼灸師の国家資格を取得して20年、口臭治療が専門になって15年が経過しています。

 

東洋医学は、「ミル」医学です。

 

患者さんの表情から出てくるシグナルサインのメッセージを見るだけでも、多くの情報がくみ取れます。それに加え、歯科医師の知見を加えた上で、表情、特に、口角の微妙な動きが、心理状態に「どのような影響を与えているか?」について、考察を加えてみようと思います。

 

 

もうすぐ、自民党の総裁選、総選挙がやってきます。

 

政治家の方々は、誰の「勝ち馬」に乗るか?で、戦々恐々の日々を過ごしている事でしょう。

こんな時に、ヒトは、その本質を表情の変化に表します。

① サンプル1:過敏性大腸炎の政治家の先生

この方の表情を今一度よく見て欲しい。メディアに掲載される写真の殆どは、

「右の口角が上がり」

「左の口角が下がった」表情をしています。

 

これは、

 

「オレは、嘘をついても、お前を掌握するぞ!」

「お前たちより、オレの方が偉いんだからな!」

といった、マウンディングを取った心理状態がくみ取れます。

 

何故かと言うと、ヒトの脳の右脳と左脳の役割の違いにあります。

 

身体の左半身の動きは、実は、「右脳」が制御しています。右脳は、客観的な分析ができる働きがあり、

「嘘をつけない」特性があります。

 

これに対し、身体の右半身の動きは、「左脳」が管理していて、どちらかと言うと、ヒトの情動に左右される傾向にあります。

 

この事から、ヒトは嘘をつく…と、脳みそが働いた時には、無意識に、右半身の動きに僅かな変化が出てきます。

 

嘘をつく時は、顔の「右側」に表情の変化が出やすいのです。

 

普段、職場などで、こうした表情を作りながら接してくる人は、心の中で、相手を欺きながら、見下している…と、考えて良さそうです。

 

嘘をつく「左脳」、嘘をつく事が出来ない「右脳」

常に、この両者の働きがバランスを取りながら、ヒトは社会生活の中で、相手に表情を作っています。

 

そう言えば、もう一人の総理経験者である、あの方は、過敏性大腸炎の方とは逆に

「右の口角が上がり」「左の口角が下がった」表情をしています。

もしかすると、一見、コワモテの表情をしていますが、実は意外と、客観的な判断ができる方なのかもじれませんね。

 

② サンプル2:世間を騒がせているアノ婚約者の口角

国民の了解がなかなか得られない、あの婚約者の表情で、私が常々気になっているのは、

 

「口角に力が入り、常に唇を、真一文字に結んでいる」事です。

 

この表情の方は、固い決意が感じられ、絶対に信念を曲げない表情であることが伺えます。加えて、常に心を取り繕い、

偽っている部分があるので、

「迂闊なことは、絶対にしゃべらないぞ!」と言う感じにも見受けます。

 

この「力んだ口の表情」には、以下の3つの心理状態が隠れています。

 

●「怒った」の感情

唇をきつく結び、ぎゅっと力が入る行状の時は、心の中に「怒り」の感情が隠れています。

これに加え、両側の口角が下がり、「への字」になってくれば、怒りは頂点に達している事が伺えます。 

 

●「沈思黙考」の感情

企画会議などで、良いアイデアが出ない時、心理状態が小康状態になっている時も、口元に力が入ります。

これは、考えている時、話を聞いている時の両方に出てくる表情です。

特に、過緊張が続き、交感神経が優位になって、唾液の分泌が滞り、口が渇いてしまうと、下唇を上唇が咬んで、

さらに唇に力が入った表情になります。

さらに進行すると、歯で唇を挟んで、カサカサした唇の粘膜を食い破ってしまう時もあります。

何かをずっと考えていて、それが、ずっと引っ掛かっている時に、この表情になりやすいです。 

 

●「感情抑制」の表情

「結婚したい!」と言う、感情の抑制が起きている時も、この表情になりやすいです。

例えば、職場の上司が、何かおっちょこちょいな失敗をしでかした時に、思わず、笑いが込み上げてくる時があります。

ただ、その場面が、笑っていけない時に、無意識に感情の抑制が入り、「笑ってはいけない」と言う心理状態になった時に、

唇に力が入って、笑いを堪えます。この表情は、ストレートに心を表に出せない時に出やすいです。

 

この方に、どんな感情が抑制されているか?知る由もないですが、何か大きな闇を抱えているような気がしてなりません。

そして、沈思黙考をして感情が抑制されている時は、往々にして、ウソをついている時になりやすいです。その嘘が、「バレない様にしなければ…」と言う心理が読み取れます。

 

③ サンプル3:どうしても、駆け落ち婚をしたいプリンセス

私は、大学院生の時に、実験動物として、8頭のニホンザルを飼育していました。人工歯根のサンプルを、サルの顎や大腿骨に手術で飢えて、骨の反応を見るのです。

生き物を飼うのは苦労が必要です。毎日のエサやり、下の世話、檻の清掃なのです。実験動物を販売する業者から購入し、サルが納品されてきます。

数か月~1年間の間、飼育して、お付き合いが始まります。

 

実験動物として連れてこられるサルですから、猿側にも事情があるのでしょう。

 

なにせ、サル山のボス猿を連れてきてしまえば、その群れの統率が崩壊してしまいます。

納品された猿を見ると、耳が咬みちぎられた猿や、妙に無反応の猿、すぐに怒り出しヒトに慣れていない猿など、

群れからはぐれ者になった事が分かる猿君たちでした。

 

「そんなお前だから、ここに来たんだね」

 

と言うように、一癖も、二癖もありそうな面々です。人間に対しては、

「口角を引き上げて、こちらを威嚇します」

 

猿を4年間、飼育していて学習したのですが、この口角を引き上げる猿の表情には、2種類の感情がある事が分かりました。

 

●「威嚇の表情」

サルは、敵を攻撃しようという時、下の歯をむきだして、これから咬みつくぞ!と、威嚇動作をします。

愚連隊の怖い方が、「なんだぁ、ゴラァ」と、近づいてくる時の表情と言えば分かりやすいでしょうか?

下の歯を見せたり、下唇をだらしなく緩めたりして、顎を前に突き出す…オラオラ顔です。

 

一見、ヒトの笑顔にも似ていますが、心の内面では、ビビりの感情が芽生え、「恐怖心」に支配されています。

これから何をされるか分からない、そして、恐らくは、もう一生、檻の中からは出る事はない不安から、

虚勢を張って、口角を上げているのです。

 

●戦い回避の表情

もうひとつは「プレイフェイス」と呼ばれているものです。今度は、上の歯もむき出して、大きく目を見開き、

時に、奇声を発する時もあります。こちらは、「私は戦う意思はないです。悪意のない子供の様な存在で、仲良くやっていきましょう」という意思表示です。

 

「あなたの言う通り、何でも言う事は聞きます」と言う感情でもあります。

 

現代風に言えば、洗脳状態に近いかもしれません。

 

●ひるがえって、プリンセスの表情は、どんな感じでしょう?

 

お写真を見る限り、下顎を引いて、上目遣いの表情で、歯を見せる事無く、アヒル口のような表情で、

口角を上げて相手を見つめています。

 

これは、堅い意思を持って、自分の決意は曲げないという気持ちに加え、相手の洗脳状態にある事が見て取れます。

 

国民は、お二人の表情をみて、本能的に「やめた方が良いかも?」と言う気持ちを抱いているのです。

お二人のこれからの人生に幸あれ…と願うばかりです。