まずは、この動画を見て欲しい。
最近、自動車のボディーに付与された、ボルテックスジェネレーターと言うデザイン的な意匠です。
近年、国内ナンバーワンシェアを誇る「トヨタ」が、積極的に採用しています。
こんなもの取りつけても、たいして効果は無いよね。天下のトヨタも無駄なことをするもんだ…と、思っていましたが、どうやらそうでもないのです。
動画を見ると、この突起があるだけで、車のボディー表面を流れる空気の流れは整流され、ボディー後端で、綺麗に剥離していくのが分かります。専門ではないですが、空気は思いのほか粘り気があり、スムーズに流さないと、車の後方で渦を巻き、乱流を生み出します。これが負圧となり、車体をスムーズに走らせるための抵抗になり、燃費の悪化を招いてしまうのです。
それが、ボルテックスジェネレーターを付与すると、突起周囲で、小さな回転渦流が発生し、綺麗に空気が流れていくのです。
これは、水の入ったペットボトルを逆さまにして水を出す時に、普通にひっくり返した時の排出より、ペットボトルを複数回、回転させボトルの中に、水の渦流を作った方が、素早くスムーズに水が流れ出る事に似ています。
この僅かな突起には、科学的にも無視できない効能があったのです。さすが天下のトヨタです。
これを東洋医学的に解釈すると、
●空気の流れが「気の流れ」
●ボルテックスジェネレーターが「漢方薬」という感じです。
そうした観点から見ると、ボルテックスジェネレーターは、余分な出っ張りなので、車にとっては「余分なもの」です。これは、「実証」ともとらえることが可能です。
波風立てない平板なものよりは、多少の「あばたもエクボ」の方が、ボディーが整うのです。
実は、生薬の中にも、ボルテックスジェネレーターのような「棘」が備わっているものがあります。
【カギカズラ】
カギカズラは、日本の温暖な地方に自生する蔓性の樹木で、九州から関東地方にかけて繁殖しています。葉のすぐ上部の短い枝が、クルリと下方に曲がり、鈎状の棘を形作ります。
鈎状の棘の部分は、生薬の「釣藤鈎」(ちょうとうこう)として用いられます。
植物の中の気の流れも、ボルテックスジェネレーターに相当する、棘状の出っ張りを設ける事で、整えているのです。当然、この棘には、気の流れをスムーズに流す効果が備わります。
効能は、鎮痙、鎮静、血圧降下が見込まれます。特に、脳動脈の硬化、痙攣、高血圧、頭痛、めまい、小児のひきつけなどに用いられます。
最近の研究では、釣藤鈎にアルツハイマー病の原因蓄積物質と言われている、アミロイドβタンパクの蓄積を阻害する作用があると報告されています。
ボルテックスジェネレーターと同じように、棘の様な出っ張りには、気の流れを整える効能がある所が面白いです。空気の流れも、ヒトの気の流れも、出っ張りを取り入れる事で、整うのです。
【代表方剤】
●七物降下湯(しちもつこうかとう)
実は、釣藤鈎は、消化活動を補助する黄耆と併用すると、より効果的に相乗効果を生み出します。脳血管を広げて脳血流を良くする作用があり、高血圧に伴う、のぼせ、肩こり、耳なり、頭重などの随伴症状に奏功します。
●抑肝散
構成生薬の中で、柴胡、釣藤鈎により、肝気の緊張を解きほぐし、神経の興奮を静めます。特に、神経症、神経衰弱、ヒステリー、不眠症に効能が見込めます。特に、小児の夜泣き、疳(かん)の虫に用いられ、古来より、「母子同服」が望ましいと言われていました。
現代では、成人のストレス・不安神経症にも使われるばかりか、認知症の予防にも応用されています。