実は、生薬にも等級がある

 

あまり知られてはいませんが、実は、生薬にも「等級分け」が存在しています。

厳選された等級の良い生薬は、効果にも違いが出てきます。

 

例えば、コーヒー豆のお店に行った時に、そこで自家焙煎をしていたら、その様子を見てみて下さい。

豆を炒る前に、ピンセットで、状態の悪い豆をピックアップしていますね。さらに、豆を挽いた後も、剥がれ落ちた渋皮を、息で吹き飛ばしたりしています。そして、生産地や豆の風味・農薬の有無などで、高価なコーヒー豆から、リーズナブルなものまで、色々なラインナップが陳列されています。

 

あるいは、ホテルの高級料理人と、町の定食屋さんでは、素材の選び方も変わってくるはずです。

 

実は、同じ生薬でも、生産地・土壌環境・生育年数・収穫時期・加工工程によって、生薬の質に変化が出てきます。特に重要な点は、主成分の含有量・味・香りが大きく異なっている点です。

 

生薬の品質評価基準は、多くの文獻でその評価の仕方が記載されています。煎じ漢方薬の場合、「日本薬局方」の記載にのっとり、調剤薬局で製造する事になります。例えば、朝鮮人参などは、品質基準別に5等級に分類されています。当然、等級が上の物の方が、効果効能にも、良い切れ味を持つものになります。

 

いつも、漢方薬の調合でお世話になっているポスト薬局さんの管理薬剤師に問い合わせた所、生薬は、

① 植物の確認

② 理化学試験の結果

③ 金属・ヒ素・残留硫黄など、産地における成育環境(土壌等)

④ 験的目視による鑑別

⑤ 残留農薬管理

⑥ 微生物検査 

⑦ 有機リン系農薬の分析管理

されたものが、市場に出ているとの事です。

 

一度、生薬管理室を見学に行ったのですが、生薬は湿気にも弱いので、エアコンは、24時間フル稼働で、動物性の生薬は、ニオイや質感が悪くなったものは、使わないようにしている…との事でした。

安心安全を提供するために、薬剤師さんのお仕事に感謝したいと思っています。