歯科における局所麻酔の注意点

 

歯科治療に、局所麻酔は欠かせません。歯科用局所麻酔剤には2%キシロカイン、8万分の1で、血管腫縮約としてエピネフリンが含まれています。塩酸リドカインです。これに対し、心臓への負担を軽くした、オクタプレシン含有シタネストと言う麻酔薬もあります。

 

歯科治療後に起きる偶発症として、施術後の「アフタ性口内炎」があります。

 

 

上図のように、傷口でダメージを受けると、ヒスタミンが最初に集まり、次いで、ブラジキニンも現れて、炎症が起こり、腫れを引き起こします。最終的には、粘膜を突き破り、潰瘍性の口内炎になっていきます。

 

そして、ヒトの粘膜の厚さには、厚い・薄いがあります。特に、粘膜が薄い人に対し、居所麻酔を打つと口内炎になりやすいです。

実は、麻酔薬の中には血管収縮薬が入っています。これは、麻酔薬を患部に長くとどめて、麻酔の効いている時間を長くする。

出血を少なくさせるなどの目的があるのですが、麻酔薬を刺入した周囲は、血液が行き渡らなくなり、瞬間的に貧血傾向になり、白く変色します。

患部が、一時的な血行不良に傾くのです。粘膜の厚みがたっぷりしていれば、周囲の血管も充分に満たされていますが、薄いと軽度の壊死をきたして、針を入れた傷口から黴菌が入ると、潰瘍を形成し、そこの粘膜周囲が壊死して、口内炎になってしまうのです。

 

 

1週間程度は、お醤油などの刺激物が触れると、しみて痛いです。通常は、新しい上皮が再生し、傷口も残らず、キレイに治ります。

 

口内炎用の薬も多数用意されていますが、あまり効果がないので、口内炎になってしまったら、「1週間様子を見て」と言う事で、自然治癒で経過を見ます。

 

ただ経験上、粘膜の厚みの他に、東洋医学的に、もう一つの原因があります。

それが、瘀血(おけつ)体質です。一般的には、ドロドロ血に相当します。歯肉の色が、淡いピンク色ではなくて、紫色っぽい方は要注意です。

 

【口内炎に効くおススメ漢方】

●患部が赤く・痛い口内炎

抗炎症作用を持つ、黄連(オウレン)、黄芩(オウゴン)を含有する「黄連解毒湯」(おうれんげどくとう)、便秘傾向で、熱を排出できない方は、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)が有効です。

 

●免疫力・抵抗力が弱い時の口内炎

体力が無く、倦怠感を伴う口内炎の場合は、口内炎もあまり強い痛みを伴いません。白くて小さな口内炎が、ポツポツと多く出る口内炎には、人参が配合された漢方薬を選びます。

消化活動を鼓舞して、身体に元気を与え、免疫力を付ける「補中益気湯」(ほちゅうえっきとう)を選択します。

 

●ドロドロ血由来の口内炎

そして、血行不良による口内炎の場合は、桂枝茯苓丸化薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)、気鬱を伴う場合は、「加味逍遙散」(かみしょうようさん)を選びます。

 

麻酔による口内炎の場合は、施術後、幹部を清潔に保っているだけでも、発祥のリスクを軽減できます。