口内口臭において、日本口臭学会の治療ガイドラインでは、硫化水素とメチルメルカプタンとジメチルサルファイドが発生してくると解説しています。
その中で、必須アミノ酸(非必須アミノ酸を含む)として、システイン(成人においては非必須)やメチオニン(必須アミノ酸)があります。
必須アミノ酸は、歯科医師国家試験でもヤマだったので、語呂合わせで覚えました。
「ふろばいすひとりじめ」→風呂場椅子、独り占め
ふ:フェニルアラニン、ろ:ロイシン、ば:バリン、い:イソロイシン、す:スレオニンひ:ヒスチジン、と:トリプトファン、りじ:リジン、め:メチオニン
といった感じです。
同様に、含硫アミノ酸は、
「がんりゅうじまでめし」→巌流島でメシ
巌流:含硫アミノ酸、メ:メチオニン、シ:システイン
といった感じです。
いずれも、含硫アミノ酸に分類され、構造式に硫黄を含んでいます。
このシステインとメチオニンが、口臭に変化していくのです。
【口内口臭発生のメカニズム】
口臭は、歯周組織や舌背上の嫌気性菌(空気が大嫌いな菌)が、剥がれ落ちた上皮細胞や食物に含まれる「含硫アミノ酸」を分解して、揮発性硫黄化物質(VSC)が発生する現象です。
●システインからは、硫化水素が、
●メチオニンからは、メチルメルカプタンが発生してきます。
こうした臭気を感じる濃度の認知閾値は非常に低く、ガス濃度:100ppb前後で、容易に不快感・忌避感を与えるニオイになっていきます。
加えて、メチルメルカプタンからは、二次的副産物として、ジメチルサルファイドも発生してくる。
これが、口内口臭による3大ガスである。
厄介なのは、メチオニンは、歯肉からの出血にも含まれている点です。そのために、歯周病罹患者は、食品中に含まれるメチオニンに加え、食事をしていない時でも、歯肉の出血中に含まれているので、常に口臭が発生しやすい口内環境に傾いてしまう点です。
加えて、硫化水素とメチルメルカプタンは、人体に対し毒性を有していることから、発炎因子や菌対外毒素の透過性を亢進させ、容易に人体に吸収されてしまう特性があります。
【システインを多く含む食材】
食品では肉類(特にレバー)、魚類、鶏卵、野菜ではにんにく、たまねぎ、ブロッコリー、芽キャベツなどに含まれる。
【メチオニンを多く含む食材】
魚(かつお、まぐろ)、肉類(鶏肉、豚肉)、鶏卵、野菜では、ほうれん草、ブロッコリー、にんにくなどに多く含まれる。
システインもメチオニンは、カルニチン、タウリンの生合成に必要であり、脂質代謝、肝機能に重要なアミノ酸である。
ただ、口臭予防の観点で考えると、こうした食材を全く食べない分けにはいかないので、口内の菌の方でコントロールするしか手立てがないのです。そのために、口内の菌バランスを整えることが、非常に重要な取り組みになってくるのです。
含硫アミノ酸が含まれている食材をガンガン食べても、口臭が出にくい口内環境を目指したいところです。