日常生活で発生している口臭について

 

口臭が専門になって15年、5000人の患者さんを治療してきました。

その中で、まだまだ患者さんの、本当のお悩みを汲み取れていないなぁ…と思う事が多々あります。

 

それは、

 

●医院で測定した口臭と

●日常生活で発生している口臭

との、乖離にあります。

 

例えば、医院で私が、

「測定結果を見ても、もう口臭は出ていません。安心してください」と説明しても、

 

患者さんは、容易に納得してくれません。続いて、こんなことを指摘してきます。

「医院の結果は、もうわかったよ」

「でも、オレが本当に知りたいのは、日常生活で発生している口臭なんだよ!」

 

確かにごもっともです。

そこが解決しないと、本当の意味で、実感する事は出来ません。

 

「何とか、患者さんの抱えている深い部分を汲み取ってあげたい」との思いから、いつもの臭気判定士、ニオイ刑事の松林さんに相談したら、アッサリ問題は解決しました。

 

なんと、ニオイを劣化・減衰することなく、長時間保持できる袋がある事を教えてもらいました。早速、その袋を導入し、患者さんに渡してみます。

 

「とにかく、あなたが日常生活で、一番、気になるニオイを、この袋の中に採取して…」

「それを、次回、医院まで持ってきてください」

「医院で、直接お口から採取した測定結果と、対比してみましょう」という事で、お願いしてみました。

 

その測定結果が、下図になります。

 

 

2022年11月16日の17:35に、患者さんの口から採取した口臭の測定値は、硫化水素:15ppb、メチルメルカプタン:0ppb、ジメチルサルファイド:0ppbで、全く口臭は検出していません。私の嗅覚による官能検査でも、特に気になる臭気は感じませんでした。

 

 

ところが、日常生活の気になるニオイを取り込んだ臭気袋を測定した、17:40の測定値では、硫化水素:359ppb、メチルメルカプタン:56ppb、ジメチルサルファイド:0ppbまで、数値が跳ね上がっていました。

 

 

「日常口臭」が、発見された瞬間でした。

 

なんと、医院の測定では、口臭は出ていなかったのですが、臭気袋から採取した呼気からは、

「確かに口臭している時間帯があったのです」

 

患者さんに、この袋に入った呼気は、どんな状況の時に採取しましたか?と、聞いた所、

「部下との打ち合わせで、話し合いやプレゼンを、2時間くらいした後、妙に、口の中が粘つくので、トイレに行って、袋に息を入れたんだ」と言う事でした。

 

患者さんは、語気を荒げて、話を続けます。

「そうだろ、やっぱり口臭が出ているじゃないか!」

「でも、オレの抱いているモヤモヤを、先生が初めて見つけ出してくれたよ!」

「本当に、ありがとう」「それで、これから、どうしたらいい?」

 

と言う流れになりました。

幾つかの対策を講じ、医院で測定しても、日常生活で発生している口臭を調べてみても、口臭は出ていないことを確認し、ようやく患者さんからは、

「おかげで、オレの口臭は治ったよ」

「安心して、営業活動ができるようになった」

「経営会議でも、積極的に発言が出来るようになったよ」

という、有り難いお言葉を頂きました。

 

患者さんからのこうした訴えに耳を傾け、その対策を、一つ一つ構築していく事で、本当の意味で、「改善した」と思えるようになると思います。また一つ、患者さんから学びの心を教えてもらいました。